寄附講座「地域創生学」の概要

本寄附講座の概要

 本寄附講座は,新たな価値の創生を通じての地域活性化のあり方について教育・研究することを設置の目的とする.

 世界的規模の経済不況の中で,日本の景気は低迷している.東京などの大都市と地方との地域格差は拡大を続け,多くの地方経済の状況は深刻である.従来の経済構造の下で,中央の好景気は地方にまで波及効果をもたらしていたが,現在ではその波及効果は限られたものとなりつつある.また,人口減少と高齢化の波は日本全国に様々な問題を起こし始めており,そのスピードと態様は地方ごとに大きく異なっている.これらの変化に対して,中央官庁による全国一律の施策や行政または産業界といった特定の分野ごとの対応は有効に機能しなくなっている.

 そのため,先進的な地域では産官学一体となって地域活性化への取り組みを始めている.多くの地域では各企業と地方公共団体,教育機関,さらには地域コミュニティが連携協力し,地域全体が一体となって地域の魅力や価値の向上に努めている.しかし,既存の単一的な価値の向上を競い追い求めることは各地域のさらなる疲弊をもたらしかねない.これからの地域社会及び地域経済に求められるのは,これまでになかったような,地域固有の新たな価値の発見・創生であり,そのような価値に基づいた地域活性化であろう.

 本寄附講座は,以上のような視点から,地域企業の成長発展を通した地域活性化について研究することによって,地域社会に貢献するという大学の社会的使命を果たすことにしたい.

 本寄附講座においては,新たな価値の創生を通じての地域活性化について総合的に研究を進めていくと共に,以下のような研究と教育を重点的に推進していく.

本寄附講座における研究課題

 第一は,地域特性に応じた地域マネジメントのあり方についての研究である.
 地域社会の状況はその地域が持っている地域資源や産業構造,さらには歴史的経緯に規定されており,地域ごとに大きく異なっている.企業経営のように地域を「経営」する地域マネジメントが近年注目されているが,地域ごとの違いを無視して画一的な地域マネジメント手法を適用することには限界がある.本研究では,地域資源の調査方法や地域マネジメントの手法についての調査検討を通じて,愛媛県の地域特性に応じた地域マネジメントのあり方を明らかにする.

 第二は,地域における中小企業振興のあり方についての研究である.
 地域における中小企業は,地域住民の雇用の場であると共に新たな価値創生の担い手でもあるが,グローバル化の進展や経済状況の悪化は地域中小企業の活力を大きく減じている.本研究では,地域中小企業の競争力を高め,収益性を向上させるための企業経営のあり方や企業再生手法,産官学連携について調査研究を通じて,地域中小企業の再活性化をもたらす中小企業振興のあり方を検討する.

 第三は,新しい価値の創生を担う人材の育成についての研究である.
 新たな価値の創生の源泉となるのは人材であり,人材の協働を促進する社会関係資本である.どれほど優れた地域資源があっても,それらを組み合わせて新しい価値を生み出すことのできる人材が不在である地域の活性化は困難である.本研究では,新たな価値の創生を担う人材の育成について研究すると同時に,地域社会と大学が連携協力しての人材育成についての実践も行う.

本寄附講座における教育

 上記のような研究を基盤として,地域住民ならびに学生が参加可能な開放講座を開催し,新たな価値の創生を通じての地域活性化についての講義を行うと共に,シンポジウム等を開催し,研究成果を幅広く地域社会に還元していく.特に開放講座においては,体系的かつ実践的な講義を行うことによって,地域活性化を積極的に担いうる人材の育成を目指す.
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